Deep dive 09
AI動画生成の実験

44本作って、
公開できたのは
1本でした。

院内のパソコンで動くAI動画生成を試しました。役割は説明動画の「司会」だけ——医学的な説明そのものは、これまで通り院内で作った説明資料が担当します。ひと晩で44本を作り、院長が41本ぜんぶを自分の目で見て評価。◎は、たった6本でした。ここに載せているのは、その中の1本です。

44本生成・41本を評価 ◎はわずか6本 院内GPUで生成・患者情報は使わない 登場人物は全員、AIが作った架空の人
Why only the host

医学の正しさは、
AI生成の映像には預けない。

治療の中身を説明する部分は、これまで通り院内で作った実写・イラストの資料がそのまま担当しています。

今回AIに新しく任せたのは、「本日は手術おつかれさまでした」と迎え入れ、場面をつなぎ、最後に締めくくる——司会の部分だけです。理由は単純です。歯や骨の形をAIにリアルに描かせようとすると、精度の要求が跳ね上がります。少しでも形が違うと、それは「間違った医学情報」になってしまう。

だから、医学的な正しさが要る部分にAI生成の映像は使わない、と最初に決めました。AIが担当するのは、映っていても間違いが起きない場面だけです。

AIに任せたのは司会だけ。
治療の説明は、これまで通りです。
The evaluation

ひと晩で44本作って、
院長が全部、自分の目で見た。

良し悪しの判断を、数値だけには任せませんでした。自動採点の仕組みもありますが、それだけでは「見た目はなめらかなのに、実はおかしい」ものを見逃します。だから41本ぜんぶを、院長が1本ずつ目で見て、○△×で評価しました。結果は◎6・△17・×18。厳しい結果でした。

ここから先は、実際に評価のときに出た指摘と、直した中身です。派手な失敗はありません。どれも地味な、でも見せられない理由でした。

44本 ひと晩で生成 41本 院長が1本ずつ目で評価 ◎ 6本 △17・×18でした 1本 このページで公開 生成はAI・選ぶのは人間 残りの◎5本は院内の説明動画ライブラリへ
44本 → 41本評価 → ◎6本 → 公開1本 — diagram: AI (Claude)
1
「シークバーを表示させると字幕が隠れてしまう」動画の再生バーを出すと、肝心の字幕が隠れて読めなくなっていました。字幕の表示位置を画面の中心寄りへ上げて解決。
2
「お薬のことを”おこくす”と言っている」正しくは「おくすり」。AIの読み間違いは、聞いてみるまで分かりません。院長の耳だけが、唯一の判定手段でした。
3
「ポイントの文字が1文字ずれている」1つ目が「ポイント2」と表示され、3つ目のはずが画面は「POINT4」——数え方のずれを直しました。
4
「綿のことを”めん”と言っている」正しくは「わた」。読み間違いを一つずつ、直しては見せ、直しては見せ、を繰り返しました。
何度も同じ場所を直した末に、「字幕位置は完璧」。

途中の版への院長の評価コメントは「字幕位置は完璧。課題はAI見立てのとおり。」でした。その後も字幕の割れ方などを直し続けて、いま院内で実際に使っている最新版が、下の1本です。派手な一発完成ではなく、同じ失敗を一つずつ潰した先にあります。

The result

できあがった1本——
「抜歯・手術を受けた方へ」

実際にできた動画がこちらです。いま院内で使っているものと同じ最新版で、司会の部分(挨拶・つなぎ・締めくくり)はAI生成、間の医学的な説明部分は、これまで通り院内の実写・イラスト資料です。登場する人物は、実在のスタッフではありません。AIが作った架空の人物です。

SOUND
音が出ます。ナレーション入りの動画です。 診療中・移動中の方は、音量にご注意ください。字幕も入っているので、音を消したままでも内容は分かります。
94秒。司会の3カットだけがAI生成で、残りは院内で作った説明資料です。実際に院内で使っているものと同じ最新版です。video: AI (H3, 院内GPU)

※ 司会が話しているのは「本日は手術おつかれさまでした。今日と明日の過ごし方が大切です。」「ここからは、お薬と過ごし方のお話です。」「傷はさわらず、お薬は最後まで飲み切ってください。」の3カットだけです。それ以外の医学的な説明は、既存の説明資料をそのまま使っています。

About the person you see

画面に映っているのは、
誰でもない人です。

この動画に映っている「衛生士」は、実在するスタッフの誰でもありません。AIが生成した架空の人物です。本物のスタッフの写真を素材にすることも、していません。実在の人に似せないのは、当院がAI生成の人物を使うときの決まりです。

AI生成の司会役。手を添えて場面をつなぐカット(架空の人物)
つなぎのカット。同じ人物を別のカットに登場させる技術で、1人の司会が最後まで案内します。frame: AI video (H3)
AI生成の司会役。締めのカット(架空の人物)
締めのカット。背景の受付モニタや小物も、すべてAIが描いたものです。frame: AI video (H3)

院長が全41本を評価する過程では、公開に向かない出来のものも数多くありました。ここに載せているのは、その中で「そのまま見せられる」と判断された1本です。

「AIで動画が作れる」と
「使える動画が作れる」は、別の話でした。

— AI動画生成の実験(41本を院長が評価)
What this proves — and what it doesn't

難しいのは、映像を作ることより、
間違いを一つずつ潰すことでした。

これがいちばん伝えたいことです。

AI動画生成は、もう「それっぽい映像」を一瞬で作れます。難しいのはそこから先——細部の間違いを一つずつ、地道に潰す作業です。今回も、字幕の位置、読み間違い、文字のずれ。どれも派手さのない修正でした。それを41本ぶん見て判断したのは、AIではなく院長でした。

現時点でこの仕組みは、既存の説明動画の「司会」役という限られた場面でだけ使っています。歯や骨のような医学的な正確さが要る部分に、この技術をまだ使うつもりはありません。

「こんなことやってるよ」を、
聞かせてください。

AIで自分の仕事の道具を作っている方、いま何かを試している方。業種は問いません。使っている機材のこと、選んでいるAIのこと、うまくいかなかったこと——何を作っているか、ひとことでも添えてもらえるとうれしいです。

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くりえいと歯科おおかわちクリニック 大川内秀幸
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