院内のパソコンで動くAI動画生成を試しました。役割は説明動画の「司会」だけ——医学的な説明そのものは、これまで通り院内で作った説明資料が担当します。ひと晩で44本を作り、院長が41本ぜんぶを自分の目で見て評価。◎は、たった6本でした。ここに載せているのは、その中の1本です。
治療の中身を説明する部分は、これまで通り院内で作った実写・イラストの資料がそのまま担当しています。
今回AIに新しく任せたのは、「本日は手術おつかれさまでした」と迎え入れ、場面をつなぎ、最後に締めくくる——司会の部分だけです。理由は単純です。歯や骨の形をAIにリアルに描かせようとすると、精度の要求が跳ね上がります。少しでも形が違うと、それは「間違った医学情報」になってしまう。
だから、医学的な正しさが要る部分にAI生成の映像は使わない、と最初に決めました。AIが担当するのは、映っていても間違いが起きない場面だけです。
良し悪しの判断を、数値だけには任せませんでした。自動採点の仕組みもありますが、それだけでは「見た目はなめらかなのに、実はおかしい」ものを見逃します。だから41本ぜんぶを、院長が1本ずつ目で見て、○△×で評価しました。結果は◎6・△17・×18。厳しい結果でした。
ここから先は、実際に評価のときに出た指摘と、直した中身です。派手な失敗はありません。どれも地味な、でも見せられない理由でした。
途中の版への院長の評価コメントは「字幕位置は完璧。課題はAI見立てのとおり。」でした。その後も字幕の割れ方などを直し続けて、いま院内で実際に使っている最新版が、下の1本です。派手な一発完成ではなく、同じ失敗を一つずつ潰した先にあります。
実際にできた動画がこちらです。いま院内で使っているものと同じ最新版で、司会の部分(挨拶・つなぎ・締めくくり)はAI生成、間の医学的な説明部分は、これまで通り院内の実写・イラスト資料です。登場する人物は、実在のスタッフではありません。AIが作った架空の人物です。
※ 司会が話しているのは「本日は手術おつかれさまでした。今日と明日の過ごし方が大切です。」「ここからは、お薬と過ごし方のお話です。」「傷はさわらず、お薬は最後まで飲み切ってください。」の3カットだけです。それ以外の医学的な説明は、既存の説明資料をそのまま使っています。
この動画に映っている「衛生士」は、実在するスタッフの誰でもありません。AIが生成した架空の人物です。本物のスタッフの写真を素材にすることも、していません。実在の人に似せないのは、当院がAI生成の人物を使うときの決まりです。
院長が全41本を評価する過程では、公開に向かない出来のものも数多くありました。ここに載せているのは、その中で「そのまま見せられる」と判断された1本です。
「AIで動画が作れる」と
「使える動画が作れる」は、別の話でした。
これがいちばん伝えたいことです。
AI動画生成は、もう「それっぽい映像」を一瞬で作れます。難しいのはそこから先——細部の間違いを一つずつ、地道に潰す作業です。今回も、字幕の位置、読み間違い、文字のずれ。どれも派手さのない修正でした。それを41本ぶん見て判断したのは、AIではなく院長でした。
現時点でこの仕組みは、既存の説明動画の「司会」役という限られた場面でだけ使っています。歯や骨のような医学的な正確さが要る部分に、この技術をまだ使うつもりはありません。
AIで自分の仕事の道具を作っている方、いま何かを試している方。業種は問いません。使っている機材のこと、選んでいるAIのこと、うまくいかなかったこと——何を作っているか、ひとことでも添えてもらえるとうれしいです。